PIST6 Championshipの裏側 ペーサー編

2022.05.26

レース

2021年10月に産声を上げたPIST6 Championship。選手たちが熱戦を繰り広げる舞台裏では、円滑なレース運営に向けて日夜奮闘する人々がいる。ペーサーはスタートから前半の3周を先導し、選手たちを規定の速度まで上げていく役割を担う。彼らの仕事の裏側に迫った。

繊細なペダリング、選手に「ストレスフリー」を



250mバンクを6周で争うPIST6では、前半の3周をペーサーが先導する形で行われる。スタートから退避まで半周ごとに決められた速度やタイムがあり、速度ではスタートを時速30kmで入ると、その後3から4kmずつ上がっていき、最終的には時速50kmになる。その半周の中でも急激な速度アップがないよう、後ろにつく選手のことを考えながら「なだらかな」ペダリングを心掛ける。

決められた速度で先導するには微妙な調整が不可欠だ。自転車にはスピードメーターが付いており、それを確認しながらではあるものの、見すぎるとコーナーを回る際にうまく回れない恐れもある。選手の動きも注意しなくてはいけない。特にスタート時は、号砲と同時に早く出る場合、あるいは遅く出る場合があり、様々なところに目配せしながら周回する。

自転車にも特徴がある。モーターのついた電動自転車で、軽く力を入れるだけで加速。加えてコンピューターが搭載されており、決められた速度などの情報をインプットされている。このことで、できるだけ規定に近い速度アップができるよう、ペーサーをアシストしている。最新技術も取り入れられてはいるが、最後は人。見つけ出した最適な踏み方でタイム通りを目指す。

ペーサーの役割として風よけの意味合いもある。風は一番の「敵」であり、選手にその負担を少しでも軽くするために、座る位置にもひと工夫。サドルの後方に構えることで、わずかでも選手に近づき風圧を減らす。

ペーサーはデイとナイト、6レースごとで交代。レースが始まる前には入念なストレッチやアップで体をしっかりほぐして本番に挑み、さらにデイとナイトの間はバンクで練習して感覚を確かめる。全ては「選手がストレスを溜めないように」。そして「担当する6レースは同じタイムで先導し、奮闘する選手の脚を前半で使わないように」。ペーサーを務めるスタッフは、そんなこだわりを持つ。

真剣勝負のレースにおいて、ただならぬ緊張感を間近で感じながら、繊細なペダリングでPIST6 Championshipを支えるペーサー。選手がベストパフォーマンスを出せるよう、自転車にまたがる。

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