中川 誠一郎

2022.05.25

インタビュー

2022年4月9日、10日に行われたファーストクォーター ラウンド2で、見事優勝を果たした中川 誠一郎選手。
決勝戦での他選手への対策や後輩選手への思いを伺いました。

Q 1

前回参戦時(JAPAN HEROESシーズンファイナル:2021年12月18-19日)の反省を生かした結果、タイムトライアル(TT)で自己ベストが出せたと話されていました。具体的にどういった部分を調整されたのでしょうか?

A 1

前回は自転車競技のブランク期間が4~5年ある上、PIST6も初出場で慣れていない部分も多かったです。でも今回はレース流れも分かっていたことで、問題なく臨めました。またギアも少し重く調整したことで、走りやすさが出ました。
既存競輪にはないTTですが、実は「レクレーション」のようで好きなんです(笑)だからこそ、開催前日からリラックスして、良い状態で臨めているんだと思います。

Q 2

今開催の調子はいかがでしたか? 初日に比べて、2日目は特に動きが軽いように見えました。

A 2

初日は気持ちの緩みが少し出てしまった気がします。2日目は準決勝、決勝とメンバーも良くなってくるので、「ピリッ」としないといけないなと。僕の気持ちの弱さが、そう見えてしまったのかもしれません(笑)

Q 3

今開催は2020年のKEIRINグランプリ覇者の和田健太郎選手もいましたが、対策は考えていましたか?

A 3

決勝でワダケン(和田健太郎選手)はほぼマークしていないです。中島くん(中島詩音選手)の方が僕は怖かったですね。PIST6は既存競輪とは全く別物だと考えているので、そちらでの強さは全く参考にしてないです。TTの結果は多少見ますが、既存競輪が強いからPIST6も強いとは思っておらず、級班もまったく意識していません。

Q 4

決勝はゴールまで誰も寄せ付けず、圧倒的な力を見せつけました。レース中に優勝を確信したタイミングはどの辺りだったのでしょうか?

A 4

残り2周~1周半くらいで豪(佐々木豪選手)のペースが緩んだんです。そのタイミングで僕が踏み込めたので「いけるかな」という感覚はありました。勝利を確信したのはファイナルラップでした。

Q 5

優勝インタビューでは「ガチで競技やってた人間なので1回くらい優勝できて良かった」とおっしゃってました。日本代表として自転車競技をけん引してきた中川選手には、プレッシャーのようなものがあったのですか?

A 5

プレッシャーやプライドはほとんどありません。一応、元日本代表という立場でPIST6に参加させてもらっているので、恥ずかしくないようにくらいの感じですかね。

Q 6

PIST6で戦ってみたい選手がいれば教えてください。

A 6

現役のナショナルチームの方々とは戦ってみたいですね。現役なので全くレベルは異なりますし、恐らく厳しい戦いになるとは思うのですが(苦笑)
ただ、何より盛り上がりそうなので「ぜひ」という思いがあります。あとは海外勢が来ると一気にPIST6のレベルが上がるでしょうね。なので、ちやほやされてる内に頑張りたいと思います(笑)

Q 7

PIST6では熊本支部の選手が多数活躍されています。その秘訣はなんでしょうか?

A 7

PIST6に対する思いが強いからではないでしょうか。熊本競輪場は現在再建工事中で使用できないため、熊本支部の選手は「千葉で練習もレースもさせてもらい助かっている」という気持ちがあります。だからこそ、みんなより頑張れているのではないかと思います。

Q 8

元日本代表として、熊本の後輩選手にアドバイスをされることはありますか?

A 8

アドバイスというよりも…僕は背中で語るタイプなんで(笑)たまにレースについて質問してくる選手もいますが、基本的に最近の若手は特に友達感覚です。体育会系のような上下関係よりも、本当に良い傾向ですよね。僕が若手の頃は上下関係が厳しいと感じていましたが、今の若手はすごく仲が良さそうなので、いいことだと感じています(笑)。それにしても最近の熊本支部は、選手が本当に強くなってきていて。頼もしいのが7割、『まだまだ負けたくないな』っていう思いが3割くらいあります。

Q 9

今開催の準決勝では、普段戦うことのない同郷の瓜生崇智選手、松岡辰泰選手と戦われましたがその時の心境を教えてください。

A 9

すごく楽しかったですね!既存競輪ではたまにラインを組んで走ることはあっても、1対1で力を試しあうことは絶対にないので、PIST6特有の体験ができて本当に楽しかったです。あのレースは最高でした。

Q 10

後輩の2選手からすると、圧倒的に強い中川選手と走ることにプレッシャーを感じそうですよね。

A 10

でもそこは僕を超えてほしいです。そんなところで止まっていたら、タイトルなんて言ってられません。準決勝では後輩に対する、そんな思いが絡み合っていました。開催を終えても、2人が決勝終了まで待ってくれていたのが印象的です。

Q 11

松岡辰泰選手はTwitterでも「中川誠一郎様が強すぎる」と、つぶやいていました。

A 11

まだまだ意地を見せておかないといけないですね(笑)2人とは年齢差があっても普段から仲が良いです。ただやっぱり若手は勢いがあるし、競輪もギアや部品、パーツとかどんどん進化しているので、置いて行かれないように必死です。

Q 12

オリンピックに2大会連続(ロンドン・リオデジャネイロ)で出場されていますが、一番の思い出は何ですか?

A 12

最も印象に残っているのは、ロンドン大会の時にシンガーソングライターのポール・マッカートニーが見に来ていたことですね(笑)イギリスは自転車競技がすごく盛んで、国技のような位置づけだからだと思うのですが、女子のチームパシュートでイギリスが金メダルを取って大騒ぎしているところに、本人がいました。それを見た時、オリンピックがすごい舞台だということを改めて感じましたね。

Q 13

ちなみに、ナショナルチームでの遠征中は選手ではなくスタッフの方々とお酒を楽しまれていたと聞きました。

A 13

年齢的にも選手よりスタッフ寄りだったので(笑)ワッキー(脇本雄太選手)は付き合ってくれるんですけど、節制という意味もあってお酒を飲まない選手も多いんです。僕はちょっと飲んだ方が体調が調子が良いタイプなので、良い意味でスタッフさんを利用させてもらってました(笑)
お酒は基本毎日飲んでます。でもそんな大量には飲まないですよ!たしなむ程度です(笑)

Q 14

今一推しのお酒があれば教えてください。

A 14

熊本の酒だと、花の香酒造の産土(うぶすな)という酒が良いですね。

Q 15

東京オリンピックの会場にもなった伊豆ベロドロームは走り慣れていると思いますが、それに比べてTIPSTAR DOME CHIBAでの自転車の乗り心地など、何か違いはありますか?

A 15

千葉のバンクは世界的に見ても走りやすいと思います。初心者向けというか入門編で、どちらかと言うと伊豆のベロドロームの方が癖がある気がします。
日本の競輪場の400mバンクでも、立川と京王閣、静岡などでそれぞれ特徴があるのと同じで、250mバンクもそれぞれ特徴があると思います。その中でも、千葉は走りやすいです。

Q 16

既存競輪と自転車競技では、フォームや乗り方を変えていますか?

A 16

変わる選手も多いと思うのですが、僕はそこまで大きく変化しない方です。ギア倍数が大きくなったとしても、テンポが少し違うくらいでやってることは同じですから、戸惑いもないですね。

Q 17

既存競輪と自転車競技を両軸でやっている選手だと、感覚が狂ってしまうというお話を聞いたことがあるのですが、中川選手は気にならないのでしょうか?

A 17

慣れていない間はそうかもしれないですね。でも僕はずっと既存競輪と競技の両軸でやっていたので、特に気にはなりません。

Q 18

最後に、中川選手の活躍を楽しみにしているPIST6ファンの皆様に一言メッセージをお願いします!

A 18

もっともっとPIST6が盛り上がっていってほしいので、是非見に来てください!