伊藤 旭

2022.07.19

インタビュー

2022年6月18日、19日に行われたセカンドクォーター ラウンド2で、約7カ月ぶりの参戦ながら初優勝を飾った伊藤旭選手。これまでの競技人生や優勝したラウンドの振り返り、さらには目標とする選手像など迫りました。

Q

「マウンテンバイク」から自転車競技に入ったと聞いています。中学時代はロードレース、高校ではトラックのレースに参戦されていましたが、競技との出会いについて教えてください。

A

父親の趣味がマウンテンバイクに乗ることで、自分も6歳ごろから一緒に乗るようになりました。気づけば自転車競技をやっていたという感じです。楽しく乗っていましたが、父親は厳しかったですね。例えばレースに出たときなど、負けると父親からの説教を受けました(笑)。

Q

九州学院高校時代の2018年には、全国高校選抜大会のスクラッチとロードで2冠を達成。輝かしい成績をお持ちですが、当時を振り返って感じることはありますか?

A

高校2年生のとき、腰の分離症を起こしてしまい自転車に乗れない期間がありました。それをきっかけに自転車の乗り方や、練習の内容をより考えるようになって、少しずつ結果もついてきました。その成果が全国大会での優勝です。練習のしすぎからケガにつながったこともありましたが、自分にとってはとても重要な期間だったと思います。

Q

日本競輪選手養成所の受験に向けて、長距離から短距離に転向したと聞いています。なぜ競輪選手を目指すことを決断したのですか?

A

高校2年の最後までは長距離をメインにロードレースを走っていて、大学進学という道も頭にはありました。でも選手の同期で、高校の同級生でもある松本秀之介(熊本・117期)の存在が影響しました。彼は「競輪選手になる」と語っており、種目は異なっても一緒にいる時間が長く、ともに練習で汗を流してきた秀之介が行くならと決意しました。

Q

PIST6でも活躍している青野将大選手(神奈川・117期)とは、養成所で同じクラスだったと聞いています。そのとき印象に残っていることはなんですか。

A

養成所での10ヶ月間は仲間と、切磋琢磨(せっさたくま)することがとても楽しかったです。特に青野さんとは朝から夜までずっと一緒だったので、仲良くしてもらいました。ただ、まともな話をしたことは、特になかったような(苦笑)。

Q

2020年5月のデビューから2年が過ぎました。ここまでのプロ生活をどう評価されますか?

A

デビューして1年以内のS級昇級を目標としており、それは達成できたので良かった点です。また当初はS級での場数が少ない分、慌てる部分もありましたが、今は落ち着いて立ち回れているとも感じます。

Q

初優勝したセカンドクォーター ラウンド2はブランクがあっての参戦でした。調整やモチベーションで大変だった部分を教えてください。

A

カーボンフレームに乗る機会も減っており、久しぶりのカーボンでの実戦でした。前検日のタイムトライアルは慣れていない分、10秒678とタイムが出ず、1日目の予選2レースまでは不安の方が勝っていました。でもレースをこなす毎に「勘」も戻ってきて、機材も乗りこなせてきており好感触でした。

Q

決勝では伊藤選手自身、落ち着いたレース運びができていたように思います。先頭に出たタイミングも抜群に見えましたが、展開などを振り返っていかがですか?

A

スタート時の並びでは後ろに青野さんがおり、残り3周回以降では青野さんを前に出そうと考えていました。その次は晝田宗一郎さん(岡山・115期)が出てくるかなと思っていたらこちらも想定通り。あとは前を見ながら仕掛けどころをうかがっていると、堀江省吾さん(長野・119期)が勝負してきたので、自分もチャンスを逃すまいと踏んだ結果が、優勝につながりました。

Q

優勝インタビューでは、自身の走りを「90点」と評価されました。残り10点の「課題」はどんなところですか?

A

足りない10点は、タイムトライアルの結果が悪かったので、練習を強化してタイムを出せるようにしたいです。決勝で優勝できたものの、まだまだ脚力不足も感じたので、その点数になりました。

Q

準決勝、決勝と同期の青野選手と対決がありました。レース後の検車場ではいじられている姿もありましたが、同期との対決はいかがでした?

A

アップのときからは青野さんから言葉で仕掛けられていたとうか、いじられたりしていました(笑)。走っている間は6人とも「敵」という考えで、レース中は特に意識していませんでした。でも終わってからは「倒せて良かったな」という気持ちがありましたね。

Q

熊本支部の同期には松岡辰泰選手(117期)もいます。PIST6のことなどは話しますか?

A

松岡さんをはじめPIST6のことは、熊本の選手同士で話題になりますね。PIST6では重いギアを踏む経験になりますし、スピード力がつくレースを体感できています。既存競輪に生かせることも多いです。

Q

師匠が田川辰二選手(熊本・72期)ということで、息子である田川翔琉選手(熊本・119期)もPIST6に参戦されています。普段交流はありますか?

A

PIST6関連だとレースの話よりもパフォーマンスの話が多いです(笑)。開催前に「俺のパフォーマンスを見て」と、アドバイスをもらっていますよ。

Q

リラックス方法や趣味など、オフの過ごし方は何ですか?

A

バイクや車が好きなので、よく父親とツーリングに行きます。バイクはハーレーダビッドソンが愛車です。

Q

なりたい選手像や今後のPIST6への抱負を教えてください?

A

自分の理想としているのは古性優作さん(大阪・100期)で、キレイなフォームで男気を感じる走りには圧倒されますね。PIST6では神山拓弥さん(栃木・91期)がすごいなと感じます。今年1月のZERO ラウンド4の決勝で、木暮安由さん(群馬・92期)や雨谷一樹さん(栃木・96期)が仕掛けてきても前を譲らず優勝したときは印象的でした。神山さんはレース時の闘争心というか、迫力を人一倍感じるので、そこを見習いたいです。

Q

ファンのみなさまへメッセージをお願いします。

A

PIST6参戦時にはしっかり盛り上げ、1着を目指して走りたいと思います!