データで振り返るファーストクォーター

2022.05.31

レース,選手

PIST6 Championship 2022-23の「ファーストクォーター」は元日本代表でオリンピック2大会出場の中川誠一郎(熊本)の完全Vで始まり、伊藤信(大阪)のPIST6初となる出場3場所連続優勝、最後は藤井昭吾(滋賀)の優勝で幕を閉じた。様々なトピックのあった全7ラウンドをデータも交えて振り返る。

勝率100%は完全Vの2選手、「50代の星」市本も上位



ファーストクォーターには全部で186人の選手が出場し、2場所を戦った選手もいる。勝率でトップに立ったのはラウンド2を制した中川とラウンド5の優勝者である堀江省吾(長野)で100%だった。両選手とも出場は1場所でオール1着の完全優勝。年代別でも中川は40代、堀江は20代でトップの数字を残した。3位には2度出場の伊藤が入った。勝率は87.5%で全8レース中、ラウンド7の準決勝で2着に沈んだ以外は全て1着を取り、ラウンド3と7の王者に輝いた。ファーストクォーターで2度、表彰台の頂点に立ったのは伊藤が唯一である。

ファーストクォーターで伊藤にただ一人勝利したのが、現在50歳の市本隆司(広島)だ。勝率50%は、ラウンド6優勝者で2場所出場の鈴木浩太(千葉)らと並ぶ16位タイで、50代の出場17選手中トップの数字でもある。2021-22の「ZERO」スペシャルマッチ1から出場した3場所連続で決勝進出中。50代初のチャンピオンの座に最も近い選手と言えよう。

勝率ランキング

順位 名前 年齢 勝率
1位 中川誠一郎 42 100%
堀江省吾 25
3位 伊藤信 38 87.5% ※
4位 中島詩音 24 75%
神山拓弥 35
徳田匠 25
青野将大 27
石井洋輝 22
山田義彦 36
小畑勝広 23
望月一成 25
藤井昭吾 36
※2場所出場。


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最もタイム上位選手を倒したのは22歳平山



各レースにおいて車番はタイムトライアルの順位から決められる。そこで独自に車番と実際の着順との差分からポイントを算出し、タイムの上位選手より先着した選手を調査。その中で最もタイム以上の力を発揮したのは22歳の平山優太(福島)だった。出場したラウンド3のタイムトライアルは10秒988の24位だったが、2次予選では4番車ながら1着を取り、準決勝敗退後の順位決定戦は6番車で1着と2勝を挙げた。他の2レースも車番より低い順位はなく、今後の活躍が楽しみになる結果を残した。

平山に次ぐのが牛山貴広(茨城)で、ファーストクォーターにおいて車番より低い順位はなし。2場所連続で準決勝に進むなど、その戦いへの慣れが感じられる。2020年の競輪グランプリ覇者でラウンド2が初出場だった和田健太郎(千葉)も、タイムトライアルこそ全体20位だったが、準決勝で6番車ながら2着。決勝でも4番車で3位に入り存在感を示した。

車番と着順 比較ポイントランキング

順位 名前 年齢 ポイント
1位 平山優太 22 2.5
2位 牛山貴広 41 2.43
3位 和田健太郎 41 2.25
〃  深澤伸介 46 2.25
5位 河合康晴 52 2.13
※数値はファーストクォーターの平均。平山優太は自身の車番と比較して、2.5着分先着していた。


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タイムトライアル最速男は中川、伊藤は2度のTT首位



ファーストクォーターのタイムトライアルで最速タイムを残したのは、ラウンド1で10秒028を記録した中川だった。このタイムはこれまでのPIST6最速である10秒013に0秒015迫るタイムで、オリンピアンとしての意地を見せた。2度トップに立ったのは伊藤で、出場したラウンド3では10秒150、ラウンド7では10秒131を記録しファーストクォーターに限ればタイムを伸ばした。しかし伊藤のベストは10秒013で、現在PIST6の最速記録を持っている。自身も「タイムトライアルでは9秒台を出さなくては」と、意気込んでいるだけに1日も早い記録更新が期待される。

このファーストクォーターでタイムトライアル1位選手が、優勝に届かなかった例はラウンド4の志田龍星(岐阜)とファイナルラウンドの今藤康裕(同)の2例のみ。タイムトライアルで好成績を残す選手が、優勝に近い位置にいることは間違いない。

ファーストクォーター優勝者
ラウンド2:中川誠一郎(熊本)初優勝
ラウンド3:伊藤信(大阪)2度目
ラウンド4:青野将大(神奈川)初優勝
ラウンド5:堀江省吾(長野)2度目
ラウンド6:鈴木浩太(千葉)初優勝
ラウンド7:伊藤信(大阪)3度目
ファイナルラウンド:藤井昭吾(滋賀)2度目

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